- 2010年1月9日3:25:32JST出現の火球(-5.7等)
- 報告者:上田 昌良
- この火球を岡本氏が写したと連絡を受けた。司馬氏も写していたことがわかり、同時火球となったので、軌道計算をしてみることにした。撮影された流星の動画をUFOAnalyzerV2ソフトを使って、手動で1フレームずつ位置測定をした。 撮影の状況にあるように、SonotaCo
Networkへの報告からこの火球は他にも6カ所で撮影されていた。しかし、位置測定を手作業で行うので、8カ所全部を手作業で行うことは膨大な量となりとても対応ができないので、2カ所だけの映像を測定するだけとした。
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撮影状況 |
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2010.01.09, 3:25:32JST |
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No. |
記号 |
撮影者 |
撮影地 |
撮影レンズ |
発光点 |
消滅点 |
フレーム数 |
最大測定光度 |
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1 |
M10001 |
岡本 貞夫 |
愛知県 |
f6mm |
× |
○ |
12 |
-5.0 |
1/30s |
2 |
M10002 |
司馬 康生 |
兵庫県 |
f6mm |
○ |
○ |
36 |
-4 |
1/30s |
3 |
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KN1 |
4 |
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ST4 |
5 |
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IS1 |
6 |
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Chiba2 |
7 |
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TK1 |
8 |
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Nagano1 |
上の映像は、岡本 貞夫氏撮影の動画を静止画にしたもの。火球経路の後半が写っている。写っていた火球は、
継続時間が12/30sで、経路の角距離が7.72°であったので、1秒当たり19.3°の角速度で天球上を動いていた。
司馬氏の写っていた火球は、継続時間が36/30sで、経路の角距離が11.48°であったので、1秒当たり 9.6°の
角速度となる。
岡本氏の観測地から火球までは118kmと司馬氏の222kmより近かったので、大きな角速度の値となった。
上の映像は、司馬 康生氏撮影の動画を静止画にしたもの。火球の前経路が写っている。
次の表は、軌道計算の結果の各数値である。この火球は愛知県の渥美半島の南海上の上空に出現し、
発光点の高さが126.5kmとやや高い所で発光していた。消滅点は74.4kmとあまり低空まで達していなか
った。火球の経路長は、57.3kmであり、散在流星であった。日心軌道は、双曲線であるが、e=1.046であり
わずかな速度決定の差で楕円軌道になるケースであるので、統計処理をするときには注意が必要である。
2010.01.09, 3:25:32JST |
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No. |
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年月日 |
(YYYYMMDD) |
20100108 |
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時刻UT |
(hhmmss) |
182532 |
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視輻射点 |
αo |
184.0 |
±0.29° |
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δo |
+53.3 |
±0.27° |
修正輻射点 |
αG |
183.7 |
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δG |
+53.7 |
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観測速度 |
V∞(Km/s) |
49.6 |
±12.2km/s |
消滅点での速度 |
V (km/s) |
- |
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地心速度 |
VG(Km/s) |
48.2 |
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日心速度 |
VH(Km/s) |
43.1 |
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交差角 |
Q(deg) |
69.4 |
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絶対光度 |
(Mag). |
-5.7 |
λ:137.222° φ:+34.432° h:79.6km |
発光点 |
Hb(Km) |
126.5 |
λ:137.347° φ:+34.587° |
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* |
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消滅点 |
He(Km) |
74.4 |
λ:137.208° φ:+34.408° |
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* |
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a :軌道長半径 |
(AU) |
-16.04 |
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e :離心率 |
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1.046 |
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q :近日点距離 |
(AU) |
0.735 |
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Ω :昇交点黄経 |
(deg) |
288.23 |
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i :軌道傾斜角 |
(deg) |
78.31 |
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ω :近日点引数 |
(deg) |
239.63 |
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P :周期(年) |
(yr) |
- |
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流星群名 |
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Spo. |
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継続時間 |
(sec) |
1.2 |
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太陽黄経 |
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288.228 |
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突入角 |
(deg) |
65 |
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測光質量 |
g |
3.8 |
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(J2000.0) |
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次の図は、司馬氏と岡本氏による組み合わせで計算した各フレームごとの速度と光度を
高さに対して示した。発光の継続時間が1.2秒と短くその間の速度の減速はきわめてわずかであった
とおもわれ、観測からは算出できなかった。火球の消滅点近くで増光・爆発していることがわかる。
最後になりましたが、この火球の位置測定に際し、撮影の動画などを提供していただいた岡本氏と司馬氏に御礼を申し上げます。