撮影地:大阪府、撮影者:上田 昌良
ワテックCCTVカメラ、6mmレンズ使用

動画 M20100330d234120sOsaka03_6mm.wmv 2.4MB

下の画像は動画をコンポジットして静止画にしたもの。火球の左側に写っている映像はゴースト。





火球が消滅点に近づくにつれ分裂を始めた。



消滅点付近での分裂の状況







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    分裂火球(2010年3月30日23:41:17JST出現)の軌道(1)
          報告:上田 昌良(2010.04.23作成)

1.概要 
 標記の-5.9等(絶対光度)の火球が出現した。この火球は初速(写り始めの点)での速度が17.0km/sと遅い速度で、突入角が35°の角度で地球大気に突入してきた。消滅点(写り終わりの点)の高さが29.9kmと低く消滅点での速度が8.9km/sまで減速していた。継続時間が6.8秒と長かったことなどから、この火球に伴う隕石の落下を検討した。その計算の結果では、落下地点として滋賀県と三重県の境界の鈴鹿峠付近に40〜90グラム程度の小さい隕石が落下との予報がでた。この火球は消滅点の前に4個程度に分裂したことが観測された。観測は、7カ所での同時で自動TV観測によるものであった。

2.撮影状況
 撮影は、司馬康生氏(兵庫県)、SonotaCo氏(東京都)、Ada氏(千葉県)、三本松高校(香川県)、Masuzawa氏(長野県)、INOUE氏(神奈川県)、上田昌良(大阪府)の7カ所で同時観測された。その内、この火球と観測地が近かったのは上田(大阪府)、司馬氏(兵庫県)、三本松高校(香川県)の3カ所であった。ただし、上田と司馬氏のところでは曇りで、火球は雲を通して写っていた。曇り空だとさらに火球の明るさの決定が困難になる。明るい火球では、AnalyzerV2ソフトがその位置を測れないことがあるので、これら3カ所の火球は手動で1フレームずつ測った。

3.輻射点
 2点間の組み合わせで輻射点をだした。同時流星の天球上での交差角の表にあるように撮影できた経路が長いので、視輻射点はばらつきの少ない決定ができた。画像上の長さは、司馬氏の火球で48.5°、上田の火球で37.4°と長経路であった。修正輻射点は、αG=146.3°δG=-18.6°であり、観測から得られた視輻射点についてはそれより8.9°も浮き上がった位置であった。この火球は輻射点位置から散在であった。
4.速度
 速度は、図のように指数関数的な速度の減速がみられた。各フレームごとのばらつきがあるものの減速は明白である。継続時間が長く、高さ30kmというような大気密度の濃くなる所までの発光があると、速度の減速が捉えやすくなるのである。

5.火球の分裂
 今回の火球は、消滅点付近で4個に分裂するのが画像から確認できた。個々の破片の軌道などをだすべく現在、作業を続けていることろである。

6.謝辞
 今回の同時流星のまとめをするにあたり、司馬康生氏には、隕石落下の予報を計算していただいた。また、撮影者の方々からは、流星データや画像などを提供いただいた。あわせて御礼もうしあげます。











大きな動画 117MB

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