上田 昌良 ホームページ  Masayoshi Ueda
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 岡本貞夫氏(愛知県)と上田昌良(大阪府)の間で標記の同時流星が撮影できたので軌道計算をおこないました。2011年はおうし座北流星群が活発で、この同時流星も、おうし座北流星群に属する火球でした。


大阪府羽曳野市で撮影。動画をコンポジットして静止画にしたもの。経路の末端付近で2回増光したのがわかる。
一回目の増光は、高さ63.6kmで明るさ-3.2等に、二回目は高さ57.8kmで-4.0等に増光した。



同時流星の実経路。2点の観測地の中間に出現し、同時流星の天球上の交差角が86.2°で理想的な位置関係で、精度良く軌道が求まった。



流星の高さと各測定点ごとの観測速度、および光度曲線。経路の末端付近で2回増光(小爆発)している。



発光点からの時間の経過と共に速度が減速している様子がわかる。青色は1/60秒ごとに流星経路を測定したもの。この
ときには、間隔が短すぎのため速度のばらつきが大きい。緑色は3/60秒ごとに測定したもので、速度のばらつきが小さくなっている。ここから、大気圏突入時の初速は28.7km/sであったのが、消滅点での終速は7.1km/sまで減速したことがわかる。


軌道等詳しくは下記の表を参照ください。
軌道等、2011-11-25, 2:39:33JST
年月日 (YYYYMMDD) 2011/11/24
時刻UT (hhmmss) 17:39:33
視輻射点 αo 70.5 ±0.15°
δo +25.4 ±0.13°
修正輻射点 αG 68.5 ±0.16°
δG +24.6 ±0.14°
観測速度 V(Km/s) 28.7 ±1.8km/s
消滅点での速度 V (km/s) 7.1 ±2.2km/s
地心速度 VG(Km/s) 26.7
日心速度 VH(Km/s) 37.4
交差角 Q(deg) 86.2
絶対光度 (Mag). -4.0 λ:136.719° φ:+34.833°h:57.8km
発光点 Hb(Km) 100.6 λ:136.446° φ:+34.803°
*
消滅点 He(Km) 53.7 λ:136.745° φ:+34.838°
*
a :軌道長半径 (AU) 2.22
e :離心率 0.813
q :近日点距離 (AU) 0.416
Ω :昇交点黄経 (deg) 241.92
i :軌道傾斜角 (deg) 2.66
ω :近日点引数 (deg) 286.87
P :周期(年) (yr) 3.31
流星群名 NTA
継続時間 (sec) 2.0
太陽黄経 241.922
突入角 (deg) 59
測光質量 g 7.5
実経路長 km 54.6
(J2000.0)

報告者:上田 昌良