この火球は岡本さんが流星の位置測定をするためUFOAnalyzerV2で処理をしたところ、速度が速過ぎて前述のソフトでは位置測定ができませんでした。このような高速の流星は太陽系外からやってきたのかを疑い、その軌道計算を特別にすることにしています。
位置測定できなかった岡本氏の動画をUFOAnalyzerV2ソフトで手動で位置測定を行った。この場合、フレーム間隔は1/30秒となります。同ソフトで自動測定しますとフレーム間隔が1/60秒で測れます。上田の撮影した流星は、同ソフトで自動測定できました。自動測定ができる・できないというこの理由は後で述べます。
この火球は、2カ所で同時撮影されたので、上田がOrbit3.basで軌道計算をしました。その結果、実経路は、上の図1のようになりました。
さて、一番知りたい速度は、観測速度(初速)=65.2 km/s ±1.3 km/sとなり表1と2のように楕円軌道であり、太陽系内の物質でした。各フレームごとの速度は図2を参照ください。
この同時流星の明るさは、絶対光度(距離100 km)が−3.0等でした。慣例的に-3.0等より明るいものを
火球と呼んでいますので、ここではこの同時流星を火球とします。
なぜ岡本氏のところでは高速火球として写ったのでしょうか。まず、写り方ですが、岡本氏の撮影動画か
ら、写った経路は17.02°で、その継続時間は15/30秒でしたから、1秒あたり36.5°という角速度で天球
上を移動するという猛スピードでした。
一方、上田の撮影動画の流星は経路が6.16°で、その継続時間は20/60秒ですから、角速度が1秒あた
り19.5°と岡本氏の撮影流星よりゆっくり飛行しています。撮影地から流星までの距離は、岡本氏の場
合で103 km、上田の場合で、185 km、岡本氏の所からの方が流星まで近いことと流星を真横から写し
ていたことが原因でした。
この高速火球の軌道計算の結果の詳細な数値は上の表を参照ください。
なお、この高速火球は、我々以外にも5カ所(Okayama, Hyougo, NN5, TK8, KN1)で同時撮影されていま
す。
今後も我々は、高速流星で極端な双曲線軌道を描いて、地球に突入するものを注視していきます。
(2016-2-10記、)