高速流星(2016年3月17日1:36:02 JST出現)の軌道等

報告:上田昌良

 岡本貞夫氏と私は高速の同時流星が写っていないかに注目しています。今回、岡本氏の所で2016年3月17日1:36:02 JSTに出現した流星は、UFOAnalyzerV2ソフトで自動測定したときに「fast」と表示され測定できない高速流星でした。この流星は私の所でも1.92等で写っておりまして同時流星となりました。

 2カ所で写りましたこの同時流星の位置をUFOAnalyzerV2ソフトで手動測定しました。そして、orbit3.basソフトで計算した結果は観測速度が72.1 km/sで地心速度が70.9 km/sの楕円軌道となり、太陽系内の流星でした。

 岡本氏の撮影した流星は、撮影地から流星の発光点までの距離が118 kmと近いため、1秒間に35.7°という角速度で天球上を猛スピードで移動したものでした。私の所からは流星まで192 kmもあり、遠かったので角速度が20.1°/sと小さな値でした。

 撮影した流星の位置測定の処理でUFOAnalyzerV2 「Class」「fast」=1秒当たりの角速度の値を大きくしておきますと自動測定できなくなる流星は減ります。しかし、そうせずに fast と表示をさせることによって高速流星が写っていたということがわかり、ある意味便利です。

我々は観測速度(大気圏外速度)が異常に速い流星、例えば、72.8 km/sよりも高速の流星で誤差を考慮しても極端な速度の双曲線軌道のものを捜しています。現在までの数年間で、我々は、まだそのような高速流星を捉えておりません。


撮影者:岡本貞夫、撮影地:愛知県、 この動画はこちら




撮影者:上田昌良、 撮影地:大阪府、 この動画はこちら




図中、M16024は岡本貞夫氏撮影の実経路、M16025は上田昌良撮影の実経路


各フレームごとの観測速度で大気による明確な減速がみられないので、これらの平均速度を初速(大気圏外速度)V∞として軌道を出しました。







軌道計算結果の詳細、







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上田昌良ホームページ
2016年3月、流星映像等

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