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上田昌良ホームページ

高速流星の軌道計算結果

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報告:上田昌良

1.はじめに
   岡本貞夫氏と私は、流星自動TVカメラにて同時観測を行っている。2004年にはこのTV同時観測を始めており、その結果を「WGN誌、36:1 (2008) PP.14-18」に報告している。それでTV同時観測を14年間続けていることになる。その間に大量の同時流星を得た。その中で撮影した流星動画の位置測定ソフト、UFOAnalyzerV2で自動処理できない高速の流星が得られることがある。これらの高速流星に注目している。この高速は見かけの角速度が速いだけなのか、流星自体が高速なのか調べている。後者の場合には、太陽系外から飛来した流星の可能性がある。
   今回は、2018年1月と2月に得られた4例を報告する。

2.今回の高速流星
   前述のように流星動画の位置測定ソフト、UFOAnalyzerV2で自動処理できなかった高速の流星は次の4個だった。
  (1)  2018-1-14, 4:20:33(JST)
  (2)  2018-1-23, 5:03:15(JST)
  (3)  2018-2-14, 3:02:29(JST)
  (4)  2018-2-19, 5:23:59(JST)
UFOAnalyzerV2で自動測定できなかった流星は、上田が同ソフトで手動測定をした。この4個の同時流星はorbit3.basで上田が軌道計算を行った。その結果で、まず撮影した流星の写野内の移動速度である角速度を次の表にまとめた。



上表の角速度は、写った流星が1秒間に写野内を移動する角度を示した。角速度が30 deg/secを超すと高速すぎてUFOAnalyzer2で自動測定できなくなっていた。また、上表中の2018年1月14日4:20:33(JST)の流星の角速度が岡本氏の写した流星は1秒間に34.7°の割合で飛行した。上田の写した流星は22.8°だった。同じ流星でも角速度が違うのは流星までの距離が相違しているだめだ。流星までの距離が遠くなるほど見かけの角速度が遅くなる。

3.高速流星のフレームごとの速度
   (1)  2018-1-14, 4:20:33(JST) 
     
   

岡本貞夫氏撮影。観測地:愛知県。


上田昌良撮影。観測地:大阪府。





この流星は、上表の日心軌道をみれば、e=1.058の双曲線軌道となっているが、速度のばらつき分だけ速度を変えて、再計算すると楕円軌道となった。つまり、この流星は確実に双曲線軌道とはいえない。


  (2)  2018-1-23, 5:03:15(JST)
    


岡本貞夫氏撮影。観測地:愛知県。


上田昌良撮影。観測地:大阪府。






  (3)  2018-2-14, 3:02:29(JST)

   


岡本貞夫氏撮影。観測地:愛知県。



上田昌良撮影。観測地:大阪府。






  (4)  2018-2-19, 5:23:59(JST)

    


岡本貞夫氏撮影。観測地:愛知県。



上田昌良撮影。観測地:大阪府。






  4.まとめ
    今回の4個の高速流星は、写野内での角速度が1秒間に30°を超えた高速の飛行だった。しかし、軌道計算の結果、確実に太陽系外から飛来したものではなかった。

  5.謝辞
     今回の高速流星の動画や静止画、そしてデータ等を提供していただいた岡本貞夫氏に感謝いたします。

※ 2018年3月21日発表