• 太陽系外からの流星体の調査
  
  上田　昌良
  
  W. J. Baggaleyらは、AMORで約100万個のレーダーによる流星の軌道を得た。その中から太陽系に流れ込む星間ダストであるその存在を見つけた。
  (Mapping the interstellar dust flow into the solar system . ESA SP-495, Nov. 2001)
  我々が行っている自動TV観測の光学観測による流星からも、それらと同様に太陽系外からやってくる流星体の調査をしてみた。この調査には、2008年分としてSonotaCo Networkへ報告のあった観測データ(UFOAnalyzerV2で処理した測定ファイル)を使わせていただいた。
  
  この調査には、2008年分の同時流星のうちの散在流星11,418個から次の条件から選び出した593個を使った。
  e > 1 　　　　　　（軌道の離心率）
  Dur. > 0.08 s　　（継続時間）
  Q > 10°　　　　　（同時流星の天球上における交差角）
  
  今回の調査では、我々のTV観測からの流星からは、W. J. Baggaleyらの述べている太陽系内に流れ込む星間ダストの源(source)からの流れを見つけられなかった。これは、レーダーによる100万個に及ばなかったこと、レーダー観測では、約40ミクロンという小さい（光学的に暗い）流星体まで観測していること、さらに南半球での観測であること。などの相違点があることを考慮せねばならない。
  
  今後も、自動TV観測を続けたく思っている。できれば望遠レンズでさらに暗い流星をねらいたい。もっと欲を言えば南半球で多地点同時観測を行いたい。
  このような努力からTV観測からも太陽系外からの流星体の存在が見つけられる
  かもしれない。
  。

逆行軌道の流星が多かった。

離心率も極端に大きなものはなかった。

今回の流星の明るさは、-1等と0等が多く、広角レンズによる比較的明るい流星による結果である。

双曲線軌道の流星の地心速度は、極端に高速なものはなかった。

黄道座標で双曲線軌道の流星輻射点を表した。
図中の、Solar Apex やNorthern Ecliptic Source　付近には輻射点がなく、その流れが見つからなかった。
Star βPictorisやSouthern Ecliptic Source付近は南天すぎて日本からは観測できない位置である。

赤道座標で流星の輻射点分布を表した