この火球は、SonotaCo Networkへの報告によると4カ所で自動TV観測されていた。それで撮影者の
方々にAnalyzerV2での処理で得られる流星の各フレームごとの流星位置・光度を提供していただいた。
これを基に軌道計算をしたので、その結果をここに報告するものである。

1.撮影者:masuzawa、撮影地:長野県。masuzawaさんの各フレームごとの流星位置は、306フレーム
  あり、その内の3フレームだけが位置データがなかった。かなり優秀なソフトであるし、処理パソコン
  のディスクデフラグなど手入れをされているのであろ。流星経路:OX、流星の発光点が写っているが、
  消滅点は写野の外であった。

2.撮影者:koma、撮影地:富山県。komaさんの324フレームあり、そのうちの6フレームが位置データなし。
  流星経路:XO、

3.撮影者:富山市天文台、撮影地:富山県。25フレーム中、13フレームが位置データなし。流星経路:XX、
  流星経路の一部のみ写っていた。

4.撮影者:上田 昌良、撮影地:大阪府。75フレーム中、21フレームの位置がなかった。AnalyzerV2で
  測定ができていなかったフレームの位置につては、前後のフレームから按分して軌道計算をした。
  流星経路:OX、


DATE UT RADIANT(2000.0) V∞ VG Vh Q abso. Hb He
No. YYYYMMDD hhmmss R.A.G Dec.G Km/s Km/s km/s deg Mag. Km * Km *
M09012 20090324 141130 142.0 -30.7 19.5 16.2 38.2 82.4 -4.1 88.0 49.1 *

DATE UT a e q Ω i ω P Shower Dur Solar deg. ev突入角 LD(km)経路長
No. YYYYMMDD hhmmss AU AU deg deg deg yr (sec) deg. deg. km
M09012 20090324 141130 2.784 0.6734 0.9092 183.945 17.357 38.660 4.646 Spor. 5.100 3.945 25 92.7

(説明)
No. :流星の通し番号(ここでは仮番号).
DATE :年月日.
UT :時分秒( 世界時).
RADIANT α: 天頂引力, 日周光行差の補正をした修正輻射点の赤経2000.0年分点( °).
δ :赤緯( °). 
Vobs.:観測速度.
Vg :地心速度.
Q :2地点から見た天球上での流星経路の交差角.
obs. Mag. : 観測光度.
abso. Mag.: 絶対光度.
Hb :流星が写り始めた高さ.
Hm :最大光度時の高さ.
He :流星が写り終わった高さ.
HbとHeの*印は,流星が視野外であったことを表している.


表2. (説明)
a :軌道長半径.
e :離心率.
q :近日点距離.
Ω :昇交点黄経.
i :軌道傾斜角.
ω : 近日点引数.
P :周期(年).
Dur: 継続時間(秒)
Solar: 太陽黄経


上図は、4カ所で撮影された流星経路の地点におけるそれぞれの高さと速度である。消滅点に近づくにつれ速度が減速している
ことがわかる。
この火球の観測からの速度は、初速(V∞)が 19.5km/sで地球大気に突入し、消滅点では速度が約6km/sまで減速していた。
しかし、消滅点の高さが40.9kmもあり隕石落下の可能性はないと考える。

発光点は、λ:136.818°φ:+35.806°h:88.0km (masuzawa)で絶対光度0.2等で写り初め、
消滅点は、λ:137.306°φ:+36.627°h:40.9km (koma)で2.3等で写り終えた。
流星の最大絶対光度は、-4.2等でその位置は、λ:137.060°φ:+36.216°h:64.1km (masuzawa)
komaさんの最大光度は、-3.1等でその位置は、λ:137.063°φ:+36.221°h:63.9km (koma)
図には、masuzawaさんの光度曲線を表した。小爆発が数回あったが、よく見ないとわからないものである。

この火球は、南天に輻射点を持つもので、散在流星と判定した。速度が遅く、測光質量では160グラムとなった。masuzawa
さんの写っていた経路長は、92.7kmであった。継続時間は5秒あったので、お願いごとを3回いうのには十分な時間であった。

4カ所のフレーム合計は730フレームあり、これらを手作業で測定していたら、気の遠くなるような月日を要していたと思われる。
自動で流星位置・光度を測定するAnalyzerV2ソフトを公開されているSonotaCoさんに感謝を申し上げたい。また、同時流星の
データをこころよく提供くださったkomaさん、富山市天文台、masuzawaさんにお礼申し上げる。

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