継続時間が3秒あった同時流星の軌道
上田 昌良

 「大火球が写りませんね、」と岡本貞夫氏にメールを出しましたら、岡本氏から、継続時間が3秒と長い-1.6等の流星が写ったとこの連絡がありました。火球が写らないこともあり、この流星は、私の所でも写っていましたので、岡本氏から、各フレームごとの位置・光度の測定処理結果のデータをいただき、軌道計算をしてみました。図のように消滅点付近で速度の減速がみられました。初速V∞が24.0km/sで地球大気に22°の角度で突入し、消滅点での速度が13.3km/sまで減速していた。







岡本氏の所から、この流星の最大光度地点までの距離は81.9kmと近く、観測からの光度は-1.6等でしたが、絶対光度(距離100km)にすると-1.2等となった。実経路長は69kmで愛知県の上空に現れていた。この同時流星は散在で、消滅点の高度が67.7kmと高いことからも隕石落下の可能性はありません。秋の夜空にゆっくりと流れた継続時間の長い美しい流星でした。
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2009年9月25日3:21:15JST出現
 撮影:WAT-100N , 6mmレンズ 撮影地:大阪、 撮影者:上田 昌良
 上の画像は、動画をコンポジットして静止画にしたもの。



軌道計算の結果

No.
年月日 (YYYYMMDD) 20090924
時刻UT (hhmmss) 182115
αo 299.1
輻射点 δo 65.8
修正 αG 292.2
輻射点 δG 62.0
観測速度 V∞(Km/s) 24.0
消滅点での速度 V (km/s) 13.3
地心速度 Vg(Km/s) 21.5
日心速度 Vh(Km/s) 37.6
交差角 Q(deg) 73.7
絶対光度 (Mag). -1.2 λ:136.849° φ:+35.010° h:79.4km
発光点 Hb(Km) 93.6 λ:136.700° φ:+35.295°
*
消滅点 He(Km) 67.7 λ:136.975° φ:+34.769°
*
a :軌道長半径 (AU) 2.50
e :離心率 0.605
q :近日点距離 (AU) 0.986
Ω :昇交点黄経 (deg) 181.70
i :軌道傾斜角 (deg) 34.39
ω :近日点引数 (deg) 197.30
P :周期(年) (yr) 3.94
流星群名 Spo.
継続時間 (sec) 3.0
太陽黄経 181.703
突入角 (deg) 22
測光質量 g 7.3
(J2000.0)